夏の参院選に向けて実績作りを急ぎたい民主党の思惑から、政策立案は性急だった。審議会などに諮るこれまでのやり方も「政治主導」の名の下に否定され、従前からあった児童手当の制度を下敷きにする安易な手法が取られた。
この結果、制度施行時に予測される混乱など具体的な想定が不十分で、成立直前に齟齬が次々に噴出。例えば、海外に子供が大勢いて、日本で働く外国人が支給対象となる一方で、日本に子供を残して海外に赴任する日本人家族は支給対象から外された。こうした理不尽にも「児童手当がそうなっていたから」(厚労省)と前政権への責任転嫁で済ませ、意に介さない回答が目立った。児童手当と子ども手当とでは予算の枠がそもそも違いすぎるなかで、財源の議論も不十分だった。
通常、行政の窓口対応を均一にする準備のために不可欠な「周知期間」もゼロに近かった。ほとんどの世帯に波及するこれほどの施策を3月に可決して6月には「支給」する性急さに加えて、混乱に拍車をかけているのが厚生労働省が外国人の養育状況の確認を厳格にするために出した「局長通知」だ。
これまで、海外の子供とメールでやりとりしていれば児童手当の支給対象になっていた自治体もあった。子ども手当の支給にあたっては「子供との面会を年に2回課す」などの新条件で全国の窓口対応を統一する−という通知だが、その場しのぎに批判回避のために出された印象は否めない。
子供の養育を確認する書類の書式が国によってバラバラで、書類そのものがない国もある。提出された外国語の証明書類の真偽をどうやって確かめるのか、といった課題も残る。「政策の体をなしていないデタラメなばらまき策」(自治体関係者)といった声も聞かれる。(安藤慶太)
【関連記事】
・ 子ども手当に外国人殺到、自治体職員怒りの声
・ 「タイで養子」子ども手当554人分申請 韓国人男性、尼崎市が受け付け拒否
・ 子ども手当の満額支給に慎重論 政府・民主のマニフェスト企画委
・ お母さんたちも「子ども手当」に異議! 再審議求めデモ
・ 子供が死亡した家に「子ども手当」申請書誤送 港区
・ 児童虐待防止法施行から今年で10年。なぜ、わが子を傷つけるのか…
・ 山崎さん搭乗シャトルが帰還態勢に 周回軌道を離脱(産経新聞)
・ <愛知5人殺傷>めい殺害容疑で再逮捕 (毎日新聞)
・ 首相不起訴相当 近く自分にも議決 小沢氏「冷静に判断を」(産経新聞)
・ <たちあがれ日本>平沼代表 自民の与謝野氏除名に不快感(毎日新聞)
・ 「泣きやまずカッとなった」生後1カ月の息子を壁に打ち付ける 傷害容疑で父親逮捕(産経新聞)